今週の要点

ドイツ初のグリーンボンドは好調

ドイツは先週、同国初のグリーンボンドを発行した。総額60 億ユーロ規模の10 年債に 対し330 億ユーロの応札があり、持続可能な資産への投資を開始する好機到来がうか がえる。ブルームバーグによると、ドイツはこれによりグリーン政府債市場全体の10%近 くを占めることとなり、第4 四半期にはさらに50 億ユーロを調達する計画である。EU が 新型コロナウイルス危機からの「グリーン・リカバリー」に注力する今こそ、グリーンボンド 市場へのドイツの参入はサステナブル投資の力強い後押しになる。グリーンボンドの特 徴は、債券で調達した資金の一部を発行体が環境問題対策(特定の使途)に配分し、進 捗度を定期的に報告することである。しかし、サステナブルに投資する方法はグリーンボ ンドだけに限らない。十分に分散されたサステナブルなポートフォリオを構築したり、国連 「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援する企業に注目したり、投資家の関心のあるサス テナブル投資に合わせてポートフォリオを調整する等の方法も可能である。それぞれの アプローチは最近の相場の上昇や3 月の下落局面を通じて、従来の投資に匹敵、ある いはそれを上回るリターンを上げている。

要点:政府の後押しに加え、従来の投資に比肩するサステナブル投資によるリターン獲得を背景に、ドイツのグリーンボンドに大きな関心が集まっており、今まさにサステナビリティ投資へ移行する好機が来ている。

株式は下落するも、依然魅力的

米国株式市場は先週初めに史上最高値を記録した後、テクノロジーセクターからのロー テーション(資金移動)の動きが強まり反落した(9 月3 日にS&P500 種株価指数は 3.5%、ナスダック指数は5%下落)。オプション関連の売りが下落に拍車をかけた。ま た、米連邦準備理事会(FRB)の当局者が景気回復ペースを維持するには追加の財政刺 激策が必要との認識を示す中、追加のコロナ経済対策をめぐる与野党協議が難航してい ることも、投資家の懸念を強めたと考えられる。しかし、ボラティリティ(市場の変動)は再び 高まっているが(VIX 指数は長期平均を30%上回る36 を記録)、投資は引き続き継続す ることを勧める。FRB からの流動性と景気回復が株式を下支えしており、ワクチン開発の 進展や、大規模な景気刺激策、実質金利の一段の低下により株式がさらに上昇する可 能性もある。押し目を利用して(スケジュールを立て、今後12 カ月の間に資金を定期的 に投入する等)市場に段階的に参入するディフェンシブな戦略も有効な選択肢である。

要点:投資家には市場から退出せず、余剰資金があれば投資することを推奨する。ポー トフォリオにエクスポージャーを加えたい場合は、過去の実績から見て、資金を一度に投 入する方法が有効な策と考える。しかし、投資タイミングの判断が難しいと感じる投資家 には、6₋12 カ月かけて段階的に市場に参入することを勧める。

テック株からのローテーションで分散投資の必要性が浮き彫りに

先週はテクノロジー株中心のナスダック指数がS&P500 種を1%近くアンダーパフォーム し、すでに割高感が強いテクノロジーセクターの過熱感を懸念する声が強まった。ナスダ ック指数は3 月の安値から53%上昇しているが、米国大型株の上昇はFAAMNG(フェイ スブック、アップル、アマゾン、マイクロソフト、ネットフリックス、グーグル)銘柄がけん引し ている(FAAMNG を除くS&P500 種の上昇率は32%に留まっている)。しかし、俯瞰して 見ると、ナスダックは2 週間前のレベルに戻ったに過ぎない。過去5 年にわたり世界のテ クノロジー株はサイクル半ばで約10%調整すると、その後6 カ月は約20%のリターンを 記録してきた。とはいえ、グロース株は割高であり、グロース株への投資配分が非常に高 い投資家には、相対的な出遅れ組や新型コロナウイルス感染拡大で加速した分野への リバランスを検討することを勧める。これにはネットワーク効果を持つプラットフォーム企 業のほか、クラウド、ビッグデータ、人工知能(AI)、5G 関連のイネーブラー企業が含まれ る。「グリーン・リカバリー」に取り組む企業も有望である。これには再生可能エネルギー などのセクターが含まれる。ブルームバーグによれば、再生可能エネルギーは今後 2050 年までの発電設備投資合計の80%を占める見通しである。景気回復が進む中で、 米国の中型株も好調な推移が見込まれる。

要点:今後上昇が見込まれる出遅れ銘柄に加え、グリーン・リカバリーや新型コロナウイルス感染拡大で加速したトレンド関連の銘柄等、アフターコロナの勝ち組企業に注目することを勧める。

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