JPY mark
  • 米中貿易摩擦再燃で、8月初旬に1ドル=109円から105円へと急速に円高ドル安が進行し、我々の3カ月予想(106円)と6カ月予想(105円)に到達した。
  • 市場は米連邦準備理事会(FRB)による積極的な追加利下げを織り込み済みであることから、短期的には1ドル=106円近辺で底堅く推移する可能性がある。
  • だが、米国経済が一段と減速し、FRBが緩和姿勢を維持しているため、長期的には円高ドル安方向に進む公算が大きい。短期的に108円~109円の水準を超える場面があれば、円買いドル売りの好機と考える。

8月初旬にドル円は大きく円高に向かったあと一服

ドル円は我々の3カ月予想である106円に到達したが、今月はドル円予想を据え置く。市場は現在、FRBによる利下げ幅を、2019年末までに65ベーシスポイント(bp)、2020年7月末までに99bpと、かなり積極的に織り込んでいる。もしFRBの利下げ幅が市場の期待に届かなければ、短期的に円高ドル安に進む余地は限られるだろう。

米中貿易摩擦の状況に加えて、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀政策決定会合も注目点だ。9月18日にはFRBが、その翌19日には日銀が金融政策を決定する。我々の基本シナリオでは、FRBが9月のFOMCで25bpの利下げに踏み切る(その後2020年3月と、2020年6月にそれぞれ25bpの追加利下げ実施する)と予想している。一方、日銀は翌日物金利を15bp引き下げると見込んでいる(さらに、10年国債利回りの誘導目標をゼロ%程度としているが、その許容変動幅を+/-0.2%から拡大する可能性がある)。9月のFOMCで、市場の予想を上回る極めてハト派的な決定がなされれば、1ドル=105円を超えて円高が進む可能性がある。そうなれば、円高圧力の緩和に向けて、日銀は強力な緩和姿勢を打ち出さざるを得なくなるだろう。

投資判断

  • ドル円が短期的に108円~109円の水準を超える場面があれば、円買いドル売りの好機と考える。
  • FRBのハト派スタンスと長引く米国経済の減速から、円に対するドルの上昇余地は限られる。下落リスクについては、円高ドル安が急激に進めば、日銀が円高進行に懸念を表明する可能性がある。とはいえ、極端なリスク回避局面では、一時的に1ドル=100円を割り込んで円高が進む可能性も排除できない。
  • ドル円が上昇する主なリスクには、FRBが再度タカ派に転じること、日銀が想定外に大規模な金融緩和策を実施することなどが挙げられる。

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